2017年03月12日

ゼファー750のバルブクリアランス測定&調整(タペット調整)をしてみよう バルブクリアランス調整編



バルブクリアランス調整編

前回の作業で基準値に収まっていない箇所があったので、これを基準値内に収めていきます


僕が測定したゼファーのバルブクリアランス 赤字は基準値に収まっていない箇所です

標準値 0.08〜0.18mm

測定時の総距離 50425km
・1番  吸気側 0.6mm       排気側 0.6
・2番  吸気側 0.1〜0.15mm  排気側 0.6mm
・3番  吸気側 0.1〜0.15mm  排気側 0.4mm
・4番  吸気側 0.9mm       排気側 0.1〜0.15mm


まず、基準値内に収まっていない箇所を調整するには、現在使われているシムの厚さを知る必要があります
ゼファーの場合はインナーシム式ですので、タペット内部にシムが入っていますのでカムシャフトを外さないとシムを取り出せません

シムはこんな感じで収まっています
BT1.jpg


タペットの下にシムが入っていますがカムシャフトが上にありますので、このままではタペットは取り外し出来ません
DSCN4405_R1.jpg

なのでカムシャフトを取り外していきますヨ!


カムシャフトの取り外し

そのままカムシャフトのキャップを外して取り外すのも有りですが、取り付け時にバルブタイミングがズレないように下準備をしておきますとカムシャフトの取り付けが容易になります

最初にタイミングローターを右に回して1.4番シリンダーを上死点に合わせます
DSCN4616_R.JPG

1,4番シリンダー上死点マーク(1・4Tのマーク)をクランクケース側のタイミングマークに合わせている時の位置
DSCN4940_R.JPG

*注 1999年より前のゼファーは部品が変わっていますので、合わせる位置が変わってきます
1999年より前のゼファーこちらの合わせ位置に1.4番シリンダーの上死点マークを合わせます
DSCN4941_R.JPG


上死点に合わせましたらカムシャフトのスプロケットを見てみましょう

吸気側のスプロケットには(IN)の刻印と棒じるしがあると思います、
これがシリンダーヘッドの面に来ていると思います
DSCN4634_R1.jpg

そうしましたら緑丸のピンに白色マーカーでなんでも良いのでピンにマーキングします

排気側も見てみるとスプロケットの刻印(EX)と棒じるしがシリンダーヘッドの面に来ていると思います
DSCN4633_R1.jpg

こちらも同じく緑丸のピンに白色マーカーでなんでも良いのでピンにマーキングします

もし1.4番シリンダーの上死点に合わせていても上画像のような位置にカムスプロケットがこない時は、もう一度タイミングローターを右へ一回転させて1.4番シリンダーを上死点に合わせると、カムスプロケットがこの位置に来ると思います

何回も1.4番シリンダーを上死点に合わせても上画像のようにカムスプロケットの位置がこない場合は、バルブタイミングがズレている可能性があるので、1.4番シリンダーを上死点に合わせカムシャフトを取り外しバルブタイミングを取り直します
バルブタイミングの合わせ方は後に書きますので、そちらを参照してください


次はカムチェーンのテンションを緩めるためにカムシャフトチェーンテンショナーを取り外します
DSCN3079_R-07d16.JPG

上の画像を見ると感じとってくれると思うのですが、作業スペースが非常に狭い・・・ キャブを外せば作業スペースの確保はできますが、手間がかかるのでこのまま作業をします

先にAのボルトを10mmのレンチで緩めます Aのボルトは緩めるだけで外さなくても大丈夫です
続いてBのボルト8mm二箇所をを外してテンショナーをエンジンから外します このBのボルトはスペースの関係で外すのに時間がかかりますが、気長に外しましょう

外れたテンショナー
DSCN3082_R.JPG

*注 ちなみにテンショナーを外したり緩めた時はクランクシャフト(エンジンスタート)を回すのは厳禁です! テンショナーを緩めたり外したりしますと、カムチェーンが伸びる状態 or 張りきった状態になるりその状態でエンジンを回転させますとエンジンの重大な故障につながります・・・

次はカムシャフトを抑えているカムシャフトキャップを取り外します 
これは10mmのボルトで止まっていて計8個のキャップがあります

1.2番シリンダー側
DSCN4419_R1.jpg

3.4番シリンダー側
DSCN4415_R1.jpg

キャップを外すと各キャップの下にノックピンが入っています。取り外さなくても良いですが、外れてエンジン内部へ落としてしまわぬ様に管理しましょう
DSCN4424_R.JPG

カムシャフトキャップを外したら二本のカムシャフトを取り外します
DSCN4426_R.JPG

カムシャフトを外しますとカムチェーンがフリーになってしまいクランクケースに落ちてしまうので、長い棒でも差し込んでおきましょう
DSCN4944_R.JPG

今度はシムの調整にいきます


シム調整

カムシャフトを取り外すとやっとタペットが取り外せるようになります
DSCN4434_R.JPG

タペットクリアランスが基準値に収まっていない箇所のタペット取り外し中にあるシムを取り出します

タペットはこのように先端が磁石になっているピックアップツールがあると取り外しが容易です
DSCN4437_R.JPG

取り外したタペット
DSCN4439_R.JPG

タペットの裏側を見てみると、このようにシムが中に張り付いていると思いますので取り外します
DSCN4441_R.JPG

もしタペット内部にシムが見当たらない場合はバルブ側にあります
DSCN4448_R1.jpg

取り外したシム
DSCN4442_R.JPG

このように小さなパーツですが、とても重要なものです

さて、取り外したシムの厚みをマイクロメーターを使用して計ります
DSCN4444_R.JPG

マイクロメーターの使い方は通販サイトモノタロウで詳しく書いてありますのでそちらを参照してください

“ マイクロメーターの使い方 ”

ノギスでも測れないことはないですが、精密部品ですので信頼性のあるマイクロメーターを使うのが無難です

厚さを測りましたら現在使用しているシムの厚さとタペットクリアランスを表をみて、適正サイズのシムを見つけて発注します
DSCN5807_R.JPG

表の見方の例です

タペットクリアランス                    0.05mm

使用しているシム                     2.45mm

適正シムサイズ                      2.35mm

適正シムを入れた時のタペットクリアランス(予想) 0.15mm

こんな具合にタペットクリアランスが基準値より狭い場合は現在使用しているシムより厚さが薄いものを使います
逆にタペットクリアランスが基準値より広い場合は現在使用しているシムより厚さが厚いものを使います

このようにシムの厚さが分かると計算してタペットクリアランスの隙間幅を調整できますので、揃えてみるのも面白いかもしれませんね
レースに使われる車両などは吸気側、排気側でクリアランスを調整しとるとかなんとか

僕はどちらかというと乗っているとクリアランスが狭くなる傾向があるので基準値の広めの値付近で合わせています

さて使用するシムが分かれば発注して取り寄せます
発注したシム
DSCN4601_R.JPG

それと適正サイズのシムを入れても適正なクリアランスに収まらない時がありますので、発注する際にはワンランク厚さの薄いシム or 厚いシムを同時に注文すると再度手配する手間が省けますのでオススメです
ただ、シムの代金がかかってきますが...

シムを取り付けたらカムシャフトを取り付けていきます


カムシャフトの取り付け

交換するシムをバルブ側に収めます
DSCN4448_R1.jpg

タペットにエンジンオイルを塗布して戻します
DSCN5416_R.JPG

カムシャフトを取り付けて... といきたいところですが、もしどちらのカムシャフトが排気側、吸気側か分からなくなってしまった場合見分け方があります

排気側のカムシャフトスプロケット付近には機械式のタコメーターの名残なのかカムシャフトに溝を彫ろうと肉が盛ってあります もっと簡単なのは良く見る排気側には(EX)と刻印してあり吸気側にも(IN)と刻印してあります
DSCN4433_R.JPG

カムシャフトを吸気側、排気側につけていきますが、外す前にカムチェーンのピンにマーキングしたと思いますので、その箇所にカムスプロケットかけていきます

排気側
DSCN4633_R1.jpg

吸気側
DSCN4634_R1.jpg

もしピンにマーキングをし忘れましたらカムチェーンのピンの数を頼りに組んでいきます

排気側のEXの刻印をヘッド上面に合わせます 
DSCN4633_R2.jpg

IN側も同様にヘッド上面に合わせます
DSCN4634_R.JPG

刻印をヘッド上面に合わせましたら排気側の刻印の棒じるし上からカムチェーンのピンを1番と数え、吸気側の刻印棒じるし上にカムチェーンのピンの45番目が来るようにします

全体だとこんな感じです
DSCN4631_R1.jpg

カムシャフトをヘッドに乗せましたら8個のキャップをつけていくのですが、カムシャフト本体の軸とヘッド側のカムの軸受とキャップの軸受にエンジンオイルをたっぷり塗布しましょう。怠ると最悪カムの軸が焼けます
DSCN4624_R.JPG

DSCN4625_R.JPG


キャップには取り付け位置の数字と取り付け位置を示す矢印が刻印されていますので、元あった場所に取り付けます
DSCN4416_R.JPG

矢印は排気側へ向けます

キャップの取り付け位置
1.2番シリンダー側
DSCN4419_R3.jpg

3.4番シリンダー
DSCN4415_R3.jpg

*注 キャップはどれも同じ部品に見えますが、ヘッドと共加工されているので違う場所につけてしまうと、焼きついてしまいますので、必ず元の場所に戻しましょう。 紛失した場合はヘッド本体交換になりますので注意です

キャップの取り付けの順番は2番と6番を仮止めしてカムシャフトを落ち着かせてから、3番、7番を取り付け、つづいて1番、5番を取り付け最後に4番、8番を取り付け本締めにかかります

キャップ取り付けトルク 1.2kg-m

エンジン内部の部品ですので規定トルクで閉めるのが無難です


今度はカムチェーンテンショナーを取り付けます

テンショナーはオートテンショナーですので一旦エンジンからテンショナー外すと、このようにプッシュロッドが伸びきった状態になります(年式によってテンショナーの形状は変わります)
DSCN3090_R.JPG

ちなみにこのままエンジンに取り付けるとエンジン故障の原因になりますので、プッシュロッドはしっかりと押し込んで取り付けに入ります プッシュロッドは少しでも伸びてしまうと手で押しても戻らないノーンリターン式です

プッシュロッドの戻し方ですが、先の画像のAのボルトを外すと溝が掘られている部品が見えてきます
周りに十字の溝がありますが、更に奥にマイナスドライバーが入る溝が見えます
DSCN3087_R.JPG

こいつを口の細いマイナスドライバーで回してやるとプッシュロッドは押し込まれていきます
使ったマイナスドライバー
DSCN3089_R.JPG

ちなみにテンショナーに回転方向が描かれていますので、それに従います
DSCN3093_R.JPG

この回転方向を逆に回してしまうとプッシュロッドが外れてしまうとのことですので注意です!

プッシュロッドを押し戻しらマイナスドライバーを外します。 そうするとプッシュロッドはまたしても伸びてしまうので、このような止具を自作してマイナスドライバーで回した溝に先をいれ、テンショナー側の十字の溝に上手くはめてプッシュロッドを固定します
プッシュロッドを固定するロックプレート
DSCN3091_R.JPG

使用時はこんな具合にプッシュロドが固定されます
DSCN3095_R.JPG

こんな工具は都合よく手元にありませんので、ユーザーの方で調達、もしくは自作してくれYO! 的なことがサービスマニュアルに書いてあります ご丁寧に工具の寸法図まで記載していますので、作るのが前提だと思います

ロックプレートの寸法
E383ADE38383E382AFE38397E383ACE383BCE38388E5AFB8E6B395.jpg

最初は煎餅の缶でも使おうかと思いましたが、都合よく煎餅缶などある訳なくブリキ板をホームセンターで調達して製作しました その他アルミ板、スチール缶でもいいと思います

ロックプレートでプッシュロッドを固定したらエンジンにテンショナーを取り付けBのネジ二つで取り付けします
たぶんこんな感じになると思われます
DSCN3103_R.JPG

テンショナーをエンジンに取り付けたら、ロックプレートを外します 最後にAのネジをしておしまいです

そうしましたらタイミングローターを右へ何回か回し再度、1.4シリンダーの上死点に合わせ、排気側の棒印の刻印がヘッド上面に合っているかを確認して同じく、吸気側も棒印の刻印がヘッド上面にきているかを確認します

そうしてカムチェーンのピン数が排気側の刻印の棒じるし上からカムチェーンのピンを1番と数え、吸気側の刻印棒じるし上にカムチェーンのピンの45番目が来ているかを確認します
DSCN4631_R1.jpg

この時にカムチェーンのピンの数がずれていたら、再度カムシャフトを外し同じ作業を繰り返す事になりますので、取り外す前にピンにマーキングするのはこの手間を省くためなのです

ちなみにピンの数がずれたままエンジンをかけますと必ず不調になりますので絶対に合わせましょう
大幅にずれていますとバルブとピストンが干渉してエンジンブローします

で、カムシャフトを取り付けたらシム交換した箇所のタペットクリアランスを測定します。まだ、基準値に収まっていない時は、カムシャフトを取り外しシム交換になります

もし、タペットクリアランスが基準値に収まっていましたら、ヘッドカバーを付けて作業はおしまいです

ヘッドガスケットの取り付けには位置がありベロが出ている方を左排気側にセットして組み付けます
DSCN4662_R.JPG


タペットクリアランスを調整して思ったこと

まず、ヘッド上部からのカタカタ音が明らかに減りました
今まではエンジン回転数が上がるにつれてカタカタ音も激しく鳴っていましたがそれが、驚く程静かになります。

僕の場合、タペットクリアランスは狭かったのですが、これでもクリアランスが広い時に鳴る音と似ている音が出たので、タペット音イコール、、クリアランスが広くなっている訳ではなさそうです

それと低速のトルクが気持ち調整前より出た気がしますし、エンジンもスムーズに回るようになったと思います
もしヘッドからカタカタとタペット音がひどくなった時は一度見たほうが良いかもしれません
posted by marchyoo at 08:00| 新潟 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | ゼファー750の整備&メンテナンス記録簿 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/447539612

この記事へのトラックバック